石のDB

129 クリソタイル chrysotile 富良野市 

002/006


採集日:
採集地:富良野市
地質帯:
岩体 :-
種別1:珪酸塩鉱物
種別2:蛇紋石
サイズ:10cm

 野沢鉱山の白石綿です。
 石綿脈は中央の緑色の帯の部分です。脈幅は15mm度です。黒い部分は蛇紋岩。茶色の部分は土が付いているだけです。
 富良野の野沢鉱山の白石綿です。野沢鉱山は日本の石綿需要のほとんど全てを賄っていた大石綿鉱山でした。野沢鉱山についてWikipediaを見ると以下のような記載があります。1969年まで石綿採掘は続けられていたようです。その後は採掘したズリからモルタル混和剤を製品化して2002年まで行われていたようです。現在でも蛇紋岩を加工して肥料などを作っているようです。クローム鉱山もそうなのですが、蛇紋岩の露天掘り跡はそう簡単に緑化しないので、今でも大きく残っています。

 白石綿を鉱物的に言うと、蛇紋石の一種であるクリソタイルという鉱物です。クリソタイルは蛇紋岩の中に割れ目を充填する形で普通に大量に入っています。野沢鉱山のところの蛇紋岩は、太い割れ目をクリソタイルが綺麗に充填して美しい結晶になっています。そんな太いクリソタイルの繊維状の結晶脈は他ではそう簡単に見つからないです。その綺麗な結晶をくちゃくちゃに揉むと石綿になります。くちゃくちゃにしてしまうのはもったいないくらいに綺麗で珍しい産状です。

 蛇紋岩は元々かんらん岩だったものが、マントルから地表まで地殻変動で上昇してくる間に変質してしまったものです。かんらん岩の主構成鉱物であるかんらん石や輝石が変質して蛇紋石に変化することで蛇紋岩になります。蛇紋岩の主構成鉱物である蛇紋石は粘土鉱物であり、やわらかくて脆いです。地表面に露出すると風雨で粘土化して崩れていきます。

 蛇紋石には、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト、の3つの鉱物があります。蛇紋岩の多くは、顕微鏡で見ると元々のかんらん石や輝石が変質した部分がリザルダイトになっていて、それを取り囲むように細かな割れ目が網目状に入っていて、割れ目をクリソタイルが充填している構造となっています。この構造は蛇紋岩の「メッシュ構造」と呼ばれており、顕微鏡で蛇紋岩を識別する際の指標です。
 アンチゴライトはアンチゴライトのサンプルのところで書こうと思います。

※参考文献:Wikipedia