石のDB

131 貴蛇紋岩 noble serpentinite 富良野市 

004/006


採集日:
採集地:富良野市
地質帯:
岩体 :-
種別1:蛇紋岩
種別2:貴蛇紋岩
サイズ:6cm

 富良野の野沢鉱山のキラキラ蛇紋岩(貴蛇紋岩)です。貴蛇紋岩とは、ピカピカに磨かれた綺麗な蛇紋岩のことを言います。人工的に磨いたのではなくて天然に産するものです。野沢鉱山は日本の石綿需要のほとんど全てを賄っていた大石綿鉱山でした。野沢鉱山を歩いた時に見つけたものです。ここの石綿は蛇紋岩の中にクリソタイルという蛇紋石の一種の結晶が脈状に充填している状態です。
 下の写真はイメージ図です。厳密ではないことはご了承ください。

 鉱山として採掘できるくらいにたくさんの石綿ができるためには、蛇紋岩にたくさんの割れ目ができる必要があります。この割れ目は石綿ができるくらいの温度圧力条件が整った地下深くで起こったと思われます。山一つ分もある大きな蛇紋岩の塊全体が巨大な力で変形した時にできたのだろうと思います。この力は相当なもので、単に割れ目ができるというものではなくて、岩が薄く板状に変形してズレているくらいのものです。野沢鉱山の露天掘り跡地には、写真のような産状があります。白くなっていますが構造はわかるかと思います。


 これは地下で⇒の方向に大きな力がかかり、左右に押しつぶされながら動いた後のようです。蛇紋岩が粉砕されて小さな塊に分かれ、粉砕されたところが薄い板状になった(葉片状という)蛇紋岩が充填しているものです。この露頭は地表付近で空気に触れて炭酸カルシウムや蛇紋石が生成しているため真っ白になっています。この露頭ではわかりにくいのですが、これが地下深くであった場合、地殻変動を受けるうちに小さな塊に分かれた表面が擦れて磨かれることがあります。
 下の写真はイメージ図です。厳密ではないことはご了承ください。

 このようなところは地下深くで大きく変形したと思われる蛇紋岩が地表に露出しているところには普通にあり、うまく条件が整うと、粉砕された中に含まれる蛇紋岩の塊の表面が綺麗に磨かれた瑠璃の玉のような状態になっています。それを貴蛇紋岩と呼んでいるようです。野沢鉱山のはまだ形がいびつで滑らかさに欠けるのですが、北海道の他の蛇紋岩があるところには、玉のような綺麗なものが入っているところもあります。そのうちに、本データベースにも載せようと思います。