豊浦森林公園キャンプ場 ~小幌駅リベンジ~


探訪日:2019.09
サイト:バンガロー利用
温泉:天然豊浦温泉しおさい

 2019年の締めキャンプ。うちは寒がりのため、毎年9月のシルバーウィークに締めキャンプを行っています。2019年のシルバーウィークは長期連休ではなく1泊2日です。今回は2017年のリベンジキャンプ。2017年の締めキャンプもここ豊浦森林公園キャンプ場を訪れましたが、台風接近のため2泊のところを1泊で切り上げ、予定していたことが出来ずじまいでした。今回はその続きをやろうと思いました。

 家族に聞いたところ印象が強かったところは以下の4点でした。
 ・小幌駅
 ・バンガロー
 ・道の駅
 ・黒曜石

快適なバンガロー

 2年ぶりの豊浦森林公園キャンプ場。2年前と同じ静かで落ち着いた雰囲気。変わっていないことに少しホッとします。受付で鍵をもらって行くと、なんと、2年前と同じバンガローでした。キャンプ道具を車から下ろしバンガローに運び、タープを張って一段落。スカッと晴れてはいないけれども、2年前に暑い好天に恵まれたので、今回はこれでよいかと思いました。

 ここのバンガローは高床で湿気がなく比較的暖かいです。室内が結構広く、エアマットを家族分広げたうえで、テーブルを置いて食事するスペースがとれます。シルバーウィークになると日中は暖かいですが朝晩が冷えますので、バンガローは落ち着きます。

ちょっと怖い小幌駅

 バンガロー内を整えて設営が終わったところで小幌駅へ行ってみることにしました。前回は道の駅で案内図をいただいたのですが行けずじまい。リベンジです。秘境駅として有名な「小幌駅」。インターネット上の記事で紹介されていた沢に沿って下る道が短時間で険しくなさそうだったので使いました。
 トンネル脇から入ったところに駐車。そこから少し歩いて沢沿いの山道を下っていきます。途中トチノミがたくさん落ちていて拾いながら下りました。左に右に何度も沢を渡り下りていくと30分くらいで目の前が開け駅の裏手に出ました。有名な駅なので誰かいるかと思っていたのですが誰もいない。。ここだけ別の空間のような隔絶感があり、断崖が続く海岸地帯独特の畏怖を感じます。これは長居はしない方が良いのではないか。。。と感じました。妻や子供は、ちょっと薄気味悪い。。怖い感じがする。。。とか言っているうちに、突然風が吹いてきました。それも結構強い。天気予報では天気は崩れないはずですがなぜ? 何が起こっている?

 風は止むどころかだんだん強くなってきます。方角的に沢伝いの風ではないので、これはどこから吹いてきているのだろう。。。天気が崩れるのだろうか帰ろうかと思い始めたとき、突然踏み切りが鳴り始めました。緊張が走ります。列車が来る。秘境駅はそうそう列車がこないのでは。。いや、ここは室蘭本線、特急、貨物列車等結構な本数が走っている。安全なところへ後退してしばらく待っていると、トンネルの奥が明るくなって列車がトンネルから出てききました。貨物列車。おぉ。。長い。反対側のトンネルへ吸い込まれていきます。ディーゼルエンジンの排気ガスが追いかけるようにドッと吹き付けてくる。すごい風。なるほど、列車がトンネルの中を通ると空気が押し出されて強風になるのか。。。そして風が治まると元の静寂。これは潮時だな。元来た沢道を登り駅を後にしました。貴重な体験ができました。

 

豊浦の道の駅

 ここの道の駅、豊浦へ来たときには寄ります。地元の野菜や海産物、お土産用の小物類、アイスクリームがあり、帰りがけによってお土産と直売品を買います。アイスクリームがおいしいので食べることにしています。





2022年度は事前予約&事前決済とのこと

 うちは、天気見て直前に行き先決めて、予約不要のフリーサイトへ行くことが多いので、ちょっと残念。



黒曜石探し

 一般にはあまり知られてないかもしれませんが、豊浦は黒曜石が産出する地域の一つです。キャンプついでに黒曜石を探してみようと思いました。

黒曜石(こくようせき)とは何?

 黒曜石は縄文時代など古い時代に石器としてよく使用されていた石で、博物館、郷土資料館、埋蔵文化財センター等へ行くと展示されている真っ黒いガラスのような石です。黒曜石は天然のガラスです。割るとガラスを割ったように鋭く欠ける(貝殻状に割れる)ので、縄文時代等古い時代には矢じりやナイフなど狩りをする道具として使用されたようです。現在でも医療用のメスに使用されることもあるくらいに非常に切れ味が良いようで、金属のメスより使い勝手が良い(脂肪が付きにくくて切れ味が低下しない(*1))という評価もあります。これはお世話になった先生の受け売りですが、ハリーポッターの賢者の石は赤い黒曜石なのだそうです。
 磨くと宝石のように綺麗になるので、装飾品や飾り物として売られることもあります。北海道は黒曜石の大産地です。白滝(しらたき)、十勝(とかち)、赤井川(あかいがわ)に多く三大産地と言われます。北海道では黒曜石のことを「十勝石(とかちいし)」とも言います。こちらの名前の方が有名かもしれません。十勝地方で大量に産出する黒曜石を加工して流通したのでブランド名が付いたのだと思います。

探せばある

 事前に資料を調べて数か所当たりを付けておき、帰路の途中で寄ってみました。当たりを付けていた所では見つからりませんでしたが、探しているうちに結構見つかりました。だいたいは小さいですが、黒くピカピカしていて綺麗。子供は喜んで拾っていました


 豊浦の黒曜石は、どこから噴出したものか特定できていないようです。二つ目の写真は表面にブツブツと穴があいていますが、中身が入っている部分を見ると球顆のように見えます。

黒曜石の岩石的な話

 黒曜石は専門的には化学成分がデイサイト質から流紋岩質であるガラス質の火山岩のことを言います。火山岩とは「マグマが地上に噴出して固まった岩石」のことを言います。デイサイト質から流紋岩質というのは、岩石に含まれる二酸化ケイ素の重量割合が、岩石全体の66%以上であるということです。
 黒曜石という岩石は、岩石学的に言うと以下のような感じです。
「マグマが噴出後にガラスのように固まった岩石のうち、岩石全体の66%以上が二酸化ケイ素で出来ている岩石」
ということになります。

 黒曜石は鉱物ではなく岩石で、岩石学的には「黒曜岩」と言います。化学組成はSiO2が非常に多く、岩石の重量の60%以上が二酸化ケイ素で出来ています。二酸化ケイ素でできた石は他にもあります。有名なのが水晶です。水晶は無色透明の綺麗な形をしています。黒曜石とは見た目がかなり違います。この違いは結晶しているかどうかです。水晶は結晶した二酸化ケイ素、黒曜石は結晶しなかった二酸化ケイ素です。

 なぜ結晶しなかったのでしょう。それは結晶している暇がなかったからのようです。結晶が成長するには時間が必要です。子供の頃、ボールにお湯を入れ、目一杯濃い食塩水を作り、一晩おくと、塩化ナトリウムの小さな結晶がボールの底に出来ていて感動しました。熱いお湯にはたくさん溶ける、冷えると溶けきれない分が結晶する。結晶するには時間がかかる。この原理は熱いマグマにも言えます。黒曜石は元々は火山から噴出したマグマだったのですが、マグマが冷えてくると中に鉱物が結晶してきます。ですが、鉱物が結晶する暇がないくらいにすぐ冷えてしまったら。。。結晶がないガラスになるのです。それが黒曜石です。

 黒曜石ができるマグマには二酸化ケイ素が大量に含まれている必要があります(*2)。このタイプのマグマを噴出する火山は限られており、火山が多い日本のどこにでも黒曜石があるわけではないのです。

 二酸化ケイ素は無色透明ですので、黒曜石も無色透明になってもよいのではないかと思いますが、実際には真っ黒です。この黒さは黒曜石を薄く磨いて顕微鏡で見ると見えてくるようです。黒曜石は不透明ではなく、薄くすると無色透明になります。黒曜石の中には晶子という結晶になる前の微細な粒がたくさん出来ているようです。また、小さな鉱物の結晶(輝石、角閃石、黒雲母など)も少量ながら出来ているようです。その影響で見た目には黒く見えるようです。これらが少ないと灰色っぽくなって透明になってきます。
 まだ熱い時は流動性があるからでしょうか、晶子は流れるように入っていたりして、密度が均一ではないようで、黒曜石にはうっすらと縞模様が入っていることが多いです。また、鉱物が肉眼で確認できるくらいに結晶してしまっている黒曜石も多く、白い丸いツブツブ(球顆(きゅうか))がたくさん入っているものもあります。この白いツブツブは「クリストバル石」という鉱物らしいです。赤井川の黒曜石はたくさん入っていました。

 また、赤い黒曜石も多いです。「花十勝」と言われます。赤くなるのは鉄分が酸化しているようです。「玲瓏(れいろう)」という見る方向により七色に輝く黒曜石があります。恐らく、中に含まれる晶子や結晶に光が反射したり回析したりして色が出るのだと思います。玲瓏の美しいものはそうそう産出しないですが、それを加工して展示・販売しているお店が上士幌町にあります。加工されて光り輝く玲瓏はとても綺麗でした。

参考文献等

(*1) 長野県立歴史館のブログ(https://www.npmh.net/blog/2016/06/id-439.php)より
(*2) 流紋岩質マグマとか酸性マグマとか言われる。
(*3) ギャラリーショップ十勝石(https://kamishihoro.info/sg_detail.php?id=48)
(*4) 向井正幸「北海道から産出する黒曜石ガラスの化学組成」
(*5) 向井正幸「北海道各地から産出する黒曜石 豊浦地域」旭川市科学館 地学シート No.22 2016.7