カブトムシを卵から育てる ~61匹の飼育~

カブトムシを卵から飼育

飼育期間:2020.06.28~2021.08
飼育数:61匹

 2019年晩夏。子供がカブトムシを卵から育てたいと言います。学校でお友達が夏休みの自由研究としてカブトムシの飼育記録を書いてきたとのことで、触発されたようです。私は子供の頃、カブトムシやクワガタが大好きでしたので、やるかと意気込んだものの、夏休み明けでは時期が遅く、野外でカブトムシは見つかりません。ホームセンターやペットショップを色々回り、ようやく雌雄を1匹ずつ購入できましたが、卵を産まずにお亡くなりに。。。来年またやろうねと子供に約束しました。
 2020年初夏。今年こそはと、ホームセンターでシーズン初入荷のカブトムシを雌雄2匹ずつ購入し、中が良く見えるように大きめのガラス水槽で飼育を始めました。

1.環境

 昔と違い、ずいぶんと飼育しやすくなったと思いました。マットは色々な種類が売っています。エサは、餌台にカップに入ったゼリーを置くだけでよく、マットを汚しません。朽木、止まり木、枯葉、小枝など、100円ショップでも調達できてしまう。コバエが入らないように不織布が売っていたり、臭いを吸収する消臭剤も売っています。マットの乾燥を防ぐウォーターもある。オールインワンの飼育セットまで売っているなど、飼育用具の充実ぶりはすごいなと思いました。今も、カブトムシは子供たちに人気なんだなぁと改めて思います。



 以下に、経験的に良いと思われるコツを書きます。あくまで我が家で試したところ良いなと感じているコツで、100%確実にうまくいくとは限らないとは思いますが、参考になればと書いておきます。


2.コツ

マットは厚く入れる

 卵を産ませようと思ったらマットを厚く入れる必要があります。うちの場合は、複数のマットをブレンドして使用しました。ケースの中でブレンドしたため、このように混ぜが不完全でケースの縁は層になってしまいました。園芸でもそうですが、土はいくつかブレンドすることにより角がとれて癖がなくなり植物が育ちやすくなります。カブトムシのマットも複数混ぜた方がカブトムシにとって過ごしやすいのではないかと思っています。


エサ台にゼリーを置く、白い乳酸ゼリー

 エサはゼリーをエサ台に置いて使いました。マットが汚れずケース内を清潔に保ちやすいです。マットが汚れるとダニが発生し、カブトムシにダニが付いたら、カブトムシが弱ってしまいます。また、エサは写真にある白い乳酸の入ったゼリーが良いことがわかりました。値段は高めですが、食いつきが良くて長生きし卵を産みます。


エサはエサ台に置く

 エサはゼリーをエサ台に置いて使いました。マットが汚れずケース内を清潔に保ちやすいです。マットが汚れるとダニが発生し、カブトムシにダニが付いたら、カブトムシが弱ってしまいます。また、エサは写真にある白い乳酸の入ったゼリーが良いことがわかりました。食いつきが良く長生きします。経験上、卵を産ませようとすると、この白いゼリーが良いです。値段は高めですが。。


エサは3,4日で交換する

 エサは時間が経つと悪くなります。乳酸が入っていると乳酸発酵して、樹液のような臭いがしてきます。それはそれで良いのかもしれませんが、食いつきが下がりますし、汚くなってくるので、我が家では、小さいゼリーは3,4日で交換しています。そうすると食いつきが良いです。大きいゼリーは、ゼリーが減るまで置いています。


カブトムシがひっくり返らないようにする

 ケースの中でカブトムシが動き回り、時に、ひっくり返ってモガクことがあります。ひっくり返ると足を動かして、足の先を何かに引っかけて起き上がります。ひっくり返っても、すぐ起き上がれるように、足を引っかけることができる、枯葉や小枝、止まり木などを入れておくと良いと思います。ひっくり返ったまま放置すると、体力を使い果たして死んでしまいますので。。


ケース内に虫が入らないようにする

 ケースを不織布で被って蓋をします。空気が入りますがコバエ等の害虫が入らなくなります。ケース内でコバエが沸くと駆除が大変です。


エサ交換以外はそっとしておく

 基本的に、エサを交換する時以外は、ケース内をいじらない方が良いのではないかと思っています。私は子供の頃(小学生の頃)、カブトムシを毎年のように飼育していました。好奇心で色々いじっていましたし、マットの中で卵を産んでいないかと、頻繁にマットを掘って確認していました。結果、1回しか卵は生まなかったですし、成虫まで育てることもできませんでした。虫の気持ちになってみると、頻繁にいじられたら落ち着かなくて交尾できないし、卵も産めないし、ではないかと今は思います。


一つのケースでたくさん飼育しない

 ケースの中でたくさん飼育すると密になって余裕がなくなり、ケンカしたり、エサをうまくとれなかったりして、死んでしまうことが多くなると思います。また、落ち着いて卵を産むゆとりもなくなると思います。大きなケースにオスメスを一組入れて、ゆったり飼育するのが良いのではないかと思っています。なるべく自然界で暮らしている時に近い状態にと思いながら飼育しています。


たくさん卵を産んでくれました

 上記のような配慮をして成虫を飼育した結果、1ヶ月くらいで幼虫がケースの側面に現れました。複数匹確認できました。


成虫と幼虫を分ける

 幼虫がたくさんケース壁面に見えてきました。窮屈そうなので、ケースの中にいる幼虫を全て長さ60cmの大きな水槽に移動しました。卵は時間差つけて生んでいるようで、卵もあれば小さい幼虫、中くらいの幼虫がいました。61匹いました。

60cm水槽に幼虫を入れた状態。マットが乾燥しないように、昆虫ウォーターを挿しておいています。


卵がありました。


卵から孵化してあまり時間が経っていないと思われる小さな幼虫がいました。


少し大きくなった幼虫がいました。


窮屈になってきたので複数ケースに分ける

 60cm幅の大きな水槽でも、60匹の幼虫が大きくなると窮屈になってきました。

そこで、自宅にあった他の飼育ケースも活用して4つのケースに分け、密を軽減し少し余裕が持てるようにしました。下の写真は幼虫を引っ越した時に撮影したものです。


月1回はマット交換

 1ヶ月くらいでマットがフンだらけになってしまい、匂ってくるようになりました。1ヶ月~1ヶ月半ごとにマット交換をしました。水槽が大きく4つもあると、マットが80リットル必要でした。結構お金がかかりました。以下は11月初めにマット交換した時の様子です。

 量が多いので、外でやりました。新聞紙とビニールシートを敷いて、その上に、ケースからマットを出し、マットの中から幼虫を探して一時的にコンテナに退避ししつつ、使用済みをマットをゴミ袋に入れていきます。

 真冬の時は、外は氷点下の気温で雪が積もっていてできませんので、玄関で広げてやりました。


次々と蛹になる

 3月中旬から幼虫は部屋を作って前蛹になり、そして蛹になっていきました。水槽の壁に並んで部屋を作っているのが観察できました。部屋の中で飼育すると暖かいからなのか早いです。このままでいくと、4月には成虫になりそうな感じです。ケースの壁に見えている範囲では3月中旬~4月中旬で蛹になっていきました。





蛹から羽化する

 4月の中旬から羽化がはじまりました。ただ、ず~っと見ているわけにもいかず、羽化の瞬間は見ることができませんでした。羽化した後も2週間くらいは部屋の中でじっとしていました。体が硬くなるまで出てこないようです。



マットから出てくる

 2021年4月20日。最初の1匹がマットから出てきました。メスでした。

最初の1匹。メス。


翌日もメスが出てきました。


4日遅れてオスが出てきました。羽化に失敗したのか羽が奇形でした。


5日遅れて五体満足のオスが出てきました。


賑やかになりました。


発生推移

 以後、概ね2週間くらいで次々とマットから出てきました。多い時で1日4匹出てきました。日々、出てきた数を記録していきました。最後の蛹が成虫になるまでの発生数推移は以下のグラフです。メスの方が早くでてきて、後追いでオスが出てくることがわかりました。インターネットで見てみると、メスは卵を産めるようになるまでに少し時間がかかるようです。そのため、メスは少し早めに出てくるということでした。


 オスよりメスの方が多く生まれることがわかりました。今回は数が多く、ケースの中で密で飼育したためか、羽化に失敗したり出てこれなくて死んでしまうケースが全体の8.5%。出てこれたものの羽化に失敗したのか奇形となったものが6.8%。2021~2022年で密にせずに卵から飼育した結果、奇形や死亡はなかったため、恐らく、密であったことが羽化失敗や死亡を誘発したと思っています。

 なお、幼虫は61匹いました。近所の子供に2匹あげました。この2匹は成虫になったかどうか未確認なので、上記表にはカウントしていません。


この後は

 欲しい子供たちに配りました。手元に残った6匹は、オスメスを別のケースに入れて寿命を終えるまで飼育しました。子供の興味が他へ移ったので、継続して飼育することはしないことにしました。


子供はどうか

 子供はマット交換を手伝ってくれました。水槽を時々みて、幼虫から前蛹や蛹、そして、成虫になって出てくる過程を見ていました。ただ、カブトムシに対する興味は、お友達のカブトムシ自由研究レポートを見た時がピークで、次第に薄れたようです。子供には、カブトムシも生きており、飼育する以上、責任を持って最後まで大切に世話をすることが必要なのだということを、なんとなく感じてもらえたらいいなと思っています。