斑レイ岩について ~マグマ溜まり下部の岩石~


作成日:2017.11.05
作成場所:日高山脈博物館
岩石名:かんらん石斑レイ岩
採集地:様似町

 2017年の日高山脈博物館 岩石薄片作成講座 で作成したものです。様似町で採集された「かんらん石斑レイ岩」とのことでした。写真は、日高山脈博物館の研究用の偏光顕微鏡で撮影されたものです。うちの年代物とは違いますね。すごく綺麗で見やすかったです。

 斑レイ岩の定義を地学事典で引くと以下のような記述があります。

「塩基性粗粒完晶質火成岩。斜長石(An50以上)と普通輝石・紫ソ輝石・かんらん石のほか、角閃石と黒雲母を伴うものもあり。色指数40~70。有色鉱物として普通輝石をもつものがいちばん普通。」

 薄片を見ると、斜長石が40~50%くらいの面積を占めています。(斜長石は白黒、もしくは、茶色の縞々のもの)緑色~黄色のものが「かんらん石」です。有色鉱物は輝石、角閃石、かんらん石、磁鉄鉱からなるようでした。全体的に、結晶にブツブツ穴が開いていて、黒い引っかき傷のようなものがありますが、これは変質を受けている感じらしい。変質を受けたかんらん石斑レイ岩は、日高山脈で言うと、ポロシリオフィオライト帯に分布します。

 An 50以上というのは、灰長石と曹長石の成分比率です。斜長石は、カルシウム斜長石(灰長石)とナトリウム斜長石(曹長石)が任意に混ざり合って出来ています(固溶体という)。100%灰長石だったらAn100、100%曹長石だったらAn0。An50以上というのは、灰長石の割合が多い斜長石ということになります。成分比率はX線分析しないとわからないのではないかと思いますが、薄片での見え方は斜長石であることを示しています。

 ここで言う「塩基性」は、酸・アルカリの意味ではなく、SiO2の割合が少ないという意味で使われています。また、「粗粒」は岩石を構成する鉱物の結晶が大きくて、見た目に結晶粒が粗いこと。「完晶質」は、火山岩のように石基の部分がなくて、岩石全体が結晶の塊りであることを意味しています。