前回、NY-1Sを35mmフィルムカメラのESO3に装着してファインダーに見える像を確認しました。結果、フルサイズのデジタル一眼カメラで撮影した場合、視野数19の高品質な画像が得られることが想定できました。
➡写真撮影視野の拡大 センサー編 試行
今回は、フルサイズ素子搭載のデジタルミラーレス一眼カメラを入手し、現在可能ないくつかのパターンで撮影してみました。結果、リレーレンズを装着しないと視野数22か21、リレーレンズとしてNY-1Sを使用すると視野数19で撮影できました。
以下に、試した6パターンについて書いておきます。
パターン1:視野数22。今回試した中では、最も広く撮影できる。
センサーサイズ:フルサイズ
リレーレンズ:なし
マウント変換アダプター:
Tマウント→EFマウント(Tマウントカメラレンズアダプター)
EFマウント→RFマウント(EF-EOS R)
パターン2:視野数21。対物レンズの瞳をほぼすべて撮影できる。
センサーサイズ:フルサイズ
リレーレンズ:なし
マウント変換アダプター:
JIS鏡筒→Tマウント(Tマウントカメラアダプター)
Tマウント→RFマウント(M42-EOS.R)
パターン3:対物レンズの瞳をほぼすべて撮影できる。高画質。視野数19。
センサーサイズ:フルサイズ
リレーレンズ:NY-1S
マウント変換アダプター:Tマウント→EFマウント
パターン4:そこそこ広く、高画質。視野数19。トリミング前提。
センサーサイズ:フルサイズ
リレーレンズ:NY-1S(EOS用アタッチメント装着)
マウント変換アダプター:
EFマウント→RFマウント(EF-EOS R)
パターン5:APS-Cで広く撮る。視野数22。
センサーサイズ:APS-C
リレーレンズ:なし
マウント変換アダプター:
JIS鏡筒用 Tマウントカメラレンズアダプター
(JIS鏡筒→Tマウント→EFマウント)
パターン6:今回試した中では最高画質。視野数15。
センサーサイズ:APS-C
リレーレンズ:NY-1S(EOS用アタッチメント装着)
マウント変換アダプター:不要
◆EOS RP使用時の注意点
◆まとめ
フルサイズセンサーカメラでリレーレンズを使用せず、マウント変換アダプターにEF-EOS Rを使用した場合は、概ね、視野数 約22の範囲を撮影できることがわかりました。対物レンズの瞳を概ね撮影できましたが若干欠けます。縦横比3:2の写真にする場合は、例えば、以下のように水色枠の範囲でトリミングすると広くとれます。
トリミングした写真は以下です。画像サイズは「3818×2546」ピクセル、約972万画素です。A4に326dpi、A3でも230dpiなので、ポスター等の大判印刷以外ならいけそうです。
周辺部の画質が落ちます。画像処理ソフトを使用して、明度・シャープ各調整をしています。
だいたい視野数22の範囲が見えています。この範囲内を適当にトリミングして使います。例えば、視野いっぱいに縦横比3:2の矩形をとると、以下の白枠の部分になります。
一番外の緑色の枠が、接眼レンズ CFUW10x で見た時の視野で、現在、我が家の機材で得られている最広視野(23.44)です。水色枠が計算上の視野数22の円です。青枠が実際に見えている範囲で、概ね視野数22(計測すると22.02)です。
顕微鏡:ニコン POH 恐らく13型
対物レンズ:Plan アポクロマート 4倍(ニコン)
リレーレンズ:なし
マウントアダプター:
JIS鏡筒→Tマウント→EFマウント(JIS鏡筒用 Tマウントカメラレンズアダプター)
EFマウント→RFマウント(EF-EOS R)
カメラ:EOS RP
フルサイズセンサーカメラでリレーレンズを使用せず、マウント変換にEF-EOS Rではなくて、薄いマウント変換アダプター(M42-EOS.R)を使用した場合は、ほぼ視野数 約21(計測値:20.99)の範囲を撮影できること。また、対物レンズの瞳を欠けずに撮影できることがわかりました。
見たままを撮影するにはよい方法と思いました。また、縦横比3:2の写真にする場合は、例えば、以下のように水色枠の範囲でトリミングすると広くとれます。
トリミングした写真は以下です。画像サイズは「3255×2171」ピクセル、約706万画素です。A4に278dpi、A3で196dpiで印刷できるサイズなので、ポスター等の大判印刷をしない限りは十分と思います。
ほぼ視野数21の範囲が見えています。この範囲内を適当にトリミングして使います。例えば、視野いっぱいに縦横比3:2の矩形をとると、以下の白枠の部分になります。
一番外の緑色の枠が、接眼レンズ CFUW10x で見た時の視野で、現在、我が家の機材で得られている最広視野(23.44)です。オレンジ色枠が計算上の視野数21の円です。青枠が実際に見えている範囲で、ほぼ視野数21(計測すると20.99)です。
顕微鏡:ニコン POH 恐らく13型
対物レンズ:Plan アポクロマート 4倍(ニコン)
リレーレンズ:なし
マウントアダプター:
JIS鏡筒→Tマウント(JIS鏡筒用 Tマウントカメラレンズアダプター)
Tマウント→RFマウント(M42-EOS.R)
カメラ:EOS RP
NY-1Sを装着したフルサイズ素子カメラで撮影した画像は以下です。ケラレなく収差も少ない高画質な像が得られます。リレーレンズは接眼レンズと同じ働きをするので、対物レンズの倒立した像を反転し、サンプルと同じ方向で像を見ることができます。対角線方向で最大視野数 約19(19.06) の範囲を撮影できることがわかりました。リレーレンズなし時より少し狭いですが、高画質なので、撮影後の画像処理の手間が少なく楽です。
だいたい視野数19の範囲が見えています。この範囲内を適当にトリミングして使います。例えば、視野いっぱいに縦横比3:2の矩形をとると、以下の白枠の部分になります。
緑枠:接眼レンズ CFUW10x の視野(我が家の最広視野:23.44)
黄色枠:計算上の視野数19
青色枠:実際に見えている範囲:概ね視野数19(計測すると18.99)
顕微鏡:ニコン POH 恐らく13型
対物レンズ:Plan アポクロマート 4倍(ニコン)
リレーレンズ:NY-1S(EOSアタッチメント)
カメラ:EOS RP
NY-1SをEOS Rシリーズのカメラで使用する場合、NY-1Sのアタッチメントとカメラの間にマウントアダプター(EF-EOS R)を挟む方法が一般的です。→一眼レフカメラ接続用アダプター対応一覧表 EF-EOS Rを使用しないで、ただ、カメラを乗せただけで撮影してみました。ファインダーには対物レンズの瞳が全て入り、綺麗な写真がとれますが、カメラを固定できないため、落下等のリスクがあり、やめた方がよいと思います。
前回の記事(➡写真撮影視野の拡大 センサー編 試行)において、EOS3で試行した結果とほぼ同じです。視野数は約19(うちの環境で計算すると19.06)。縦横比3:2でなるべく広い範囲をトリミングすると、以下のようになります。
これだけ広くても、像面湾曲によるボケや収差が少く、周辺部の明度調整くらいで良好な写真となるので楽でした。
だいたい視野数19の範囲が見えています。この範囲内を適当にトリミングして使います。例えば、視野数19の円内いっぱいに縦横比3:2の矩形をとると、以下の白枠の部分になります。
顕微鏡:ニコン POH 恐らく13型
対物レンズ:Plan アポクロマート 4倍(ニコン)
リレーレンズ:NY-1S(EOSアタッチメント)
マウントアダプター:EF-EOS R
カメラ:EOS RP
NY-1SをEOS Rシリーズのカメラで使用する場合、NY-1Sのアタッチメントとカメラの間にマウントアダプター(EF-EOS R)を挟む方法が一般的です。→一眼レフカメラ接続用アダプター対応一覧表 このアダプターは、従来のEOSシリーズのレンズ(EF・EF-S各マウント)をEOS Rシリーズで使用する際に用いるものです。
リレーレンズなしでAPS-Cセンサーカメラで撮影した画像です。画像の左上角、左下角、右下角に若干ケラレがあります。
ファインダーで見えている範囲が白枠で撮影範囲です。だいたい対角線で視野数22の範囲が見えています。左右の上の角、右の下の角が、少しケラレています。うちのPOHの写真鏡筒は、視野数22より外側が見えないようです。(リレーレンズなしで撮影すると、像が反転するので、ケラレ位置も逆になっています)
一番外の緑色の枠が、接眼レンズ CFUW10x で見た時の視野で、現在、我が家の機材で得られている最広視野(23.44)です。水色枠が計算上の視野数21の円です。青枠が実際に見えている範囲で、ほぼほぼ視野数22(計測すると21.915)です。
顕微鏡:ニコン POH 恐らく13型
対物レンズ:Plan アポクロマート 4倍(ニコン)
リレーレンズ:なし
マウントアダプター:JIS鏡筒用 Tマウントカメラレンズアダプター
カメラ:EOS Kiss X7
NY-1Sを装着したAPS-Cセンサーカメラで撮影した画像は以下です。NY-1SはAPS-Cセンサーサイズ以下のカメラで撮影した時に本領を発揮します。ケラレなく、収差も少なく、周辺部の光量不足も感じない高画質な像が得られるので、撮影後の画像処理がほとんど不要で楽です。
対角線方向で視野数 約15の範囲を撮影できました。ただ、ニコンPOHの標準接眼レンズ(DHKW10x)の視野数は18。現在は広視野の接眼レンズを使って視野数23まで見える状態にしていることもあり、見た目との差が大きく、また、岩石内の構造を表現しようとした場合に不足を感じます。
だいたいこんな感じです。白枠がEOSKissX7のファインダーで見えている部分≒撮影範囲です。
一番外の緑色の枠が、接眼レンズ CFUW10x で見た時の視野で、現在、我が家の機材で得られている最広視野(23.44)です。赤枠が計算上の視野数15の円です。赤枠と比較すると、撮影範囲(白枠)はだいたい視野数15です。こうしてみると、撮影範囲は接眼レンズで見えている範囲よりかなり狭いことがわかります。
NY-1Sの視野数は公表値が15です。この値は実際に撮影してもほぼそうだということがわかります。今回改めて計測したら14.79でした。撮影状況や、撮影処理上の誤差や、EOSのAPS-Cセンサーは標準サイズより少し小さく出来ていることを加味すると、大きくはズレていないように思っています。
本構成は、NY-1SをEOSに装着する標準構成です。
顕微鏡:ニコン POH 恐らく13型
対物レンズ:Plan アポクロマート 4倍(ニコン)
リレーレンズ:NY-1S(EOSアタッチメント)
カメラ:EOS Kiss X7
マウント変換アダプター:なし
今回は、NY-1SにEFマウント用のアタッチメントを装着しているので、そのままカメラに装着できます。別途、マウント変換アダプターは不要です。
その1
そのままではレリーズできず撮影できませんでした。カメラ本体の設定で「レンズなしレリーズ」をONにする必要がありました。
※NY-1Sにはフォーカス調整や絞りはありません。カメラ本体とも通信しないです。AF(オートフォーカス)は機能せず、ピント調整は顕微鏡のステージを手で動かして行います。また、絞りがない=常に開放状態です。AE(自動露出)は機能します。絞りがないのでカメラがシャッタースピードとISO感度(Autoにしていた場合)を自動調整します。ちなみに、EOS Kiss X7はレンズ未装着でもレリーズできました。最初、なんでシャッター切れない? と悩みました。
その2
マウント変換をする必要があります。EOS RPはRFマウント、NY-1SはEFマウント(EOSのアタッチメント装着状態)です。EFからRFのマウント変換が必要で、これにEF-EOS Rを使います。EF-EOS RはNY-1S用の機材ではなく、EOS RシリーズにEFレンズを装着するためにCanonが用意しているマウントアダプターです。この辺りのことは、NY-1Sのメーカーサイトに詳細があります。(*1)
・リレーレンズなしの場合:
・視野数22の範囲を撮影できる。
・対物レンズの瞳全体を概ね撮影できる。
・画質は悪くはなく、画像をレタッチすると綺麗になる。
・対物レンズの瞳を欠けずに撮影するにはマウント変換アダプター「M42-EPS.R」を使するとできたが、視野数は21になる。
※対物レンズとセンサーとの距離を少し短くするとよいように思われる。
・NY-1Sを使用した場合:
・対物レンズの瞳の一部を撮影できる
・フルサイズセンサーカメラ:対角線方向の視野数19
・APS-Cカメラ:対角線方向の視野数15
・画像周辺部の収差、像面湾曲による周辺部のピントのズレが少なく、撮影後のレタッチが楽。
・視野数が広いと画像周辺部の画質が下がる
・画像周辺部の明るさの減退や、像面湾曲によると思われる周辺部の若干のピントのズレが起こるので、画像のレタッチが必要になってくる。
用途によりけりとは思いますが、対物レンズの瞳を欠けずに撮影するにはパターン2、広い範囲を撮影するにはパターン1と5、高画質でレタッチが楽なのはパターン4と6。と思います。
課題は、EF-EOS Rを使用しない場合のRFマウントへの変換です。現状、パターン2で「M42-EOS.R」を使用していますが、Tマウントメスのネジピッチの品質が今一つなのか、完全にはまりません。許容範囲の画像が得られているので、このままでも大きな問題はないですが、しっかり装着できる方法を模索中。
(*1)顕微鏡写真撮影アダプター 一眼レフ/ミラーレス/フルサイズカメラ用 美舘イメージングのホームページ