オリビンサンド ~玄武岩の中に含まれるかんらん石~


頂いた日:2016.10.08
採集地 :ハワイ

 2016年のパラタクソノミスト講座 野外観察会 において、参加者の一人からいただいたものです。かんらん石の砂です。黄色寄りのオリーブ色をしています。細粒の砂ゆえ双眼実体顕微鏡で撮影しました。倍率は6倍です。かんらん石の結晶粒がたくさん見えて綺麗です。ハワイへ行った時に採集してきてくれました。ありがとうございます。


 ハワイはホットスポットと呼ばれるマントルから常時マグマが供給されているポイントです。ホットスポットでは、上部マントルのかんらん岩が融けて出来た、粘性の低い玄武岩質マグマが噴出しています。玄武岩質マグマが冷えると最初に、融点の高い鉱物「かんらん石」や「スピネル」が晶出してきます。地上に噴出すると急速に冷却するので、ほとんどの鉱物は大きく成長する時間的ゆとりがないままに固結し、玄武岩となります。やがて固結した玄武岩は風化し崩れ、小さな斑晶が岩石中から分離し、川や海で洗われて研磨されるなどして、このような綺麗な砂になっていたのだろう思います。ハワイにオリーブ色の美しい砂浜が出来上がるまでには、気の遠くなるような悠久の時があったはずです。それを思うと、この砂の価値、ありがたさを実感します。