パラタクソノミスト講座 2017 採集物 ~大きな結晶がとれた~

 去る2017.10.7-8に、北海道大学総合博物館主催の2017年パラタクソノミスト講座野外観察会が開催されました。それに参加し採集したサンプルです。参加者が採集した中で良質なサンプルについても、いくつか載せておきます。

曹長石 albite -深川市-

採集日:2017.10.08
採集地:深川市

 2017年のパラタクソノミスト講座 野外観察会 で採集したものです。大きな曹長石の結晶で7cm四方あります。参加者さんの一人がハンマーで割ったもののようなのですが、石英の塊と思って捨て置いたものらしいです。ですが、劈開があり、曹長石の大きな結晶のようであり、曹長石の大きな結晶は希なので、標本として保管することとしました。

 深川市には大きな蛇紋岩帯があり、そのうち、高温の変成作用を受けている蛇紋岩帯で採集したものです。ここの蛇紋岩帯は、鉱物の結晶が大きく成長した岩石が多く見られます。結晶を大きくする要因は熱水かもしれません。

あられ石 aragonaite 南富良野町

採集日:2017.10.07
採集地:南富良野町

 大きなあられ石の結晶で5cm程度あります。参加者さんの一人が見つけたものです。ここまで大きなあられ石の結晶はなかなか見かけず貴重なので、写真を撮らせていただきました。

 南富良野市には付加体が分布しており、その中に、緑色岩や石灰岩が分布しています。これらの岩石は、プレートに乗って移動してきたサンゴ礁でかこまれた島か海山が、当時(日本列島はまだない)のユーラシア大陸の東端にぶつかり、崩れ、地下に引き込まれたものと言われています。サンゴ礁は地下深くで弱い変成作用を受けて再結晶し、純度の高い石灰岩になったようです。大理石になっている部分もありました。地殻変動により地上に至るまでの間に、石灰岩の岩体には大小の割れ目ができますので、そこに水が通り、長い時間をかけて「あられ石」が結晶したと思われます。