石のDB

036 変斑レイ岩 metagabbro 日高町 

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採集日:2008-10-18
採集地:日高町
地質帯:ポロシリオフィオライト
岩体 :ウェンザル
種別1:火成岩
種別2:変質岩
サイズ:14cm

岩石だけでなく、構成鉱物も変形してしまっていて、かつ、変質も受け緑色になってしまっている斑レイ岩です

マイロナイト(*1)化した斑レイ岩です。 沙流川上流に、日高衝上断層が通っている所があります。その断層帯は、千島側の島弧が北海道の西南部の島弧に乗り上げた現場です。島弧同士がぶつかった所なので、その付近の岩石は、非常に強い力により粉砕され引き伸ばされています。どんなものなのか見てみようと思いました。また、衝上断層付近には、オフィオライト関連の岩石や日高変成帯の岩石も見られますので、見てみようと思いました。 上の写真。右側の白っぽい部分は風化しています。白から薄い紫色の部分が斜長石で、青緑っぽい所が主に角閃石や緑泥石。 元岩は斑レイ岩。日高山脈を造った運動により、強い力で押し伸ばされたために、斑レイ岩の構成鉱物(斜長石、輝石、角閃石、かんらん石もあるかも。。。)が粉砕され、斜長石の結晶はボロボロになりながらもある程度残っているのですが、輝石は粉砕され変質し再結晶して微細な角閃石になり、斜長石の間を埋めています。下の写真で青緑色部分がびよ~んと伸びたようになっていますが、単結晶ではなく、微細な結晶の集合体です。肉眼ではそんな細かなことまではわからないのですが、これと良く似た岩石の薄片を見せて頂き、教えていただきました。ありがとうございます。


強い力で引き伸ばされたことがわかる面です。青緑色の部分がびよ~んと伸びています。


風化面です。斑レイ岩の風化面に似ています。白地に黒や青緑の斑点があります。

マイロナイト化していなくても、変質を受けて、輝石が角閃石に変化してしまって、黒い部分が青緑色になっている斑レイ岩は、日高で結構見かけます。このような斑レイ岩は「変斑レイ岩」と、大枠では言われています。

(*1) マイロナイト
マイロナイトは、地下深い所の変成作用がかかる場所で、非常に強い剪断を受けて岩石の組織が破壊され、変成作用により再結晶した岩石です。結晶が大きく成長する暇がないようです。日高の場合は、島弧どうしが衝突して日高山脈が突き上げた時の衝突部付近に見られます。